04. まだ濡れたままの髪の毛
ネズミが家に帰ると、紫苑がストーブの前で暖をとっていた。
それと一緒に鼠たちも紫苑の周りで寛いでいた。
「あ、おかえり。ネズミ」
紫苑がすぐに振り向いて声を掛けた。
「ただいま」
紫苑は風呂に入った後なのか、髪が濡れていた。
ストーブの光に当たってオレンジ色に染まっている白髪が綺麗だった。
紫苑は寄生バチの代償として髪の色素が奪われた。だが、今となってはこの色も様になっている。
ネズミは紫苑の後ろに立って髪を徐に触った。老人の様な白髪に反して、触り心地が良かった。
「……ネズミ?」
紫苑は俺の行動に驚きつつも何も言わずに好きにさせている。
「あんた、この色似合ってるな」
ネズミが不意に呟いた。
「ネズミ、何だよいきなり」
「思ったことを言ったまでさ」
NO.6から助け出してすぐに寄生バチが紫苑を襲った。
驚いた、なんてもんじゃない。
何をしたら良いのか全く分からず、紫苑に言われるがままに首の水泡を切った。
消毒液も何もない西ブロックで感染症にかからなかっただけでも奇跡だった 。
あの時、本当に死ぬかと思った。
折角助けたのに、すぐに死なれたら堪らないと思い、ネズミは必死にこの世界に引き戻し た。
紫苑の髪を何度も梳いていると、寄生バチが紫苑を襲った時のことが思い出されて急に変な感情に襲われた。
ネズミは何も言わずに紫苑を後ろから抱き締める。
「どうしたの? ネズミ」
紫苑が困惑した声を出している。
「……別に」
ネズミはすぐに離れてベットに座った。
「ネズミ、何かあったの?」
俺に紫苑を看取ることなどできないかもしれない。
紫苑に背を向けて考えていた。
「ネズミ」
心配して紫苑がベットの方へと歩いて来るのが足音で分かった。
紫苑がネズミの肩に手を置く寸前、ネズミが紫苑を引き寄せた。
「わっ!」
急な体重移動についていけなかった紫苑はネズミを押し倒す様にベットへと倒れた。
「紫苑」
「……何?」
死ぬな。微かに発した声は紫苑に届いたか。
背中に回された紫苑の腕に力が込められた。
首筋にある紫苑の髪がまだ濡れていて、少しだけ現実に戻った気がした。
あんたが生きてて、良かった。
実はネズミって紫苑のこととっても愛しちゃってる的な。
妄想ですw